暮らしと税
個人経営者の場合の慰安旅行費用<平成28年4月>
Q | 私は青色申告をしている魚屋です。使用人と2泊3日の温泉旅行を企画しました。宿泊者は、私と妻(専従者)、使用人2人の4名です。旅行費用は、宿泊代と交通費を合わせて25万円です。負担する費用は全額が必要経費になりますか。 |
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A | 個人経営者の費用は、旅行に参加することが使用人の引率等であるなら必要経費となります。また、専従者である妻の費用は、使用人と同一条件による支出であれば必要経費になります。使用人の費用は当然必要経費になります。 所得税法の取扱いでは、使用人のレクレーションのために社会通念上一般的に行われている会食、旅行、演芸又は運動会等の費用は、必要経費になるとされています。ただし、不参加者に対して、参加に代えて金銭を支給した場合には、参加・不参加を問わず、すべての使用人及び青色事業専従者に対して、不参加者が支給を受ける金銭の額に相当する賞与の支給があったものとして取り扱われます。すなわち、給与として源泉所得税が課税されることになります。青色事業専従者に対して賞与の支払いがあったものとされる場合には、届出による支払方法と支払金額によらないものとなりますので、専従者給与とすることは出来なくなり必要経費とすることは出来ません。なお、個人経営者の業務の必要に基づき参加出来なかった場合はこの限りではありません。また、個人経営者と専従者だけで旅行等をした場合には、単なる家族旅行とみなされ必要経費にすることが出来ません。 消費税法の取扱いでは、必要経費になる国内旅行の費用は課税仕入に該当します。そして、賞与として取り扱われた金額も同様に課税仕入となります。 なお、この場合における課税仕入とは、消費税の計算上、消費税が課税される売上げから控除される仕入金額のことです。事業者が事業として、商品や製造設備等の資産を購入又は借り受けたり、サービスの提供を受けた場合、課税仕入に該当します 。 |
(東京地方税理士会税法研究所・研究員 平山紀美子)
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