東京地方税理士会

暮らしと税

その預金は誰のもの?<平成27年9月>

相続税の調査で被相続人の名義だけでなく、家族の預金も調査され、場合によっては相続財産と認定されるケースがあるとのことですが、どのような理由で名義人のものではなく相続財産とみなされるのですか。また、参考になる事があれば教えて下さい。

税務当局は預金の名義にとらわれずに、その預金の実質の所有者は誰かとの事実関係を調査・確認して判断するものと思われ、次のような理由が考えられます。

  • 1 その預金の口座開設の手続きをしたのは誰か、開設申込書の筆跡、届出印鑑の所有者は誰か、また、主として使用しているのは誰か。
  • 2 その預金の通帳の保管・管理は誰がしていたか。例えば預け入れ、引き出しの手続きは誰がしていたか、預け入れの資金源は何か、また、定期預金であれば満期継続の手続きは誰が行っていたか。
  • 3 その預金は過去に贈与を受けたものと主張しても、贈与税の申告の有無、通帳の保管・管理、使用印鑑等を調査して、贈与があったのかどうか。
  • 4 預金だけではなく、有価証券等の家族の名義についても調査対象になり、株券の保管・管理は誰か、配当金を受領していたのは誰か、購入資金は誰が捻出したのか。

以上のような事実関係を調査・確認して名義人の財産か、被相続人の財産なのかを判断しているものと考えられます。

自己の財産については日頃から家族に任せることなく、自分で保管・管理をして、内容についても説明ができるようにしておくのが、将来の相続税のトラブル回避になるでしょう。

(東京地方税理士会税法研究所・研究員 吉尾 勉)

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