東京地方税理士会

暮らしと税

国民年金保険料の2年前納と社会保険料控除<平成27年11月>

昨年、国民年金保険料を2年分前納しましたが、今年、会社に就職することになりました。
昨年は確定申告時に、前納した保険料の総額を社会保険料控除の対象としたのですが、何か問題がありますでしょうか。

国民年金保険については、毎月保険料を納付する方法の他に、まとめて前払いすることができ、平成26年4月からは、2年度分の保険料を口座振替でまとめて納めることもできるようになっています。

この2年前納された国民年金保険料に係る社会保険料控除については、①納めた年に全額控除する方法と、②各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法を選択することができます。

いずれの方法を選択した場合であっても、年末調整において、所得者本人が納めた国民年金保険料について社会保険料控除を受けるためには、日本年金機構が発行した社会保険料控除証明書を給与所得者の保険料控除申告書に添付して、給与等の支払者へ提出又は提示することとなりますが、上記②を選択した場合には、さらに、所得者自らが各年において「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」を作成して給与等の支払者へ提出する必要があります。

ところで、2年前納制度を利用して保険料を納付した後に、就職や結婚をし、第2号被保険者や第3号被保険者になった場合には、国民年金保険料と厚生年金保険料の二重払いが発生し、重複した保険料は、日本年金機構への手続き等により還付されることとなります。その際、すでに上記①により、前年以前に社会保険料控除を受けていたならば、過大に控除を受けていたこととなり、修正をする必要がでてきます。年末調整により控除を受けていた場合には確定申告書の提出により、確定申告により控除を受けていた場合には修正申告書の提出により、還付される保険料相当分の社会保険料控除額を修正することとなります。


(東京地方税理士会税法研究所・研究員 小林磨寿美)

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