東京地方税理士会

セミナー 暮らしと税

住宅取得等資金の贈与税の非課税(令和2年11月)

 私たち夫婦の住まいを新築することになり、父親から住宅の建築資金として援助(贈与)を受ける予定です。今年の12月に完成し、入居の予定です。贈与税に特例があると聞きましたが。

 自己の父母や祖父母など(直系尊属といいます)から住宅取得資金の贈与を受けたときは、贈与税の基礎控除額(110万円)に1千万円(その住宅が一定の「省エネ等住宅」に該当する場合には1,500万円)をプラスした額まで贈与税がかからない特例があります。
 特例を受けるための要件は以下の通りです。 

①贈与を受ける人が贈与年の1月1日において20歳以上の子、孫、ひ孫などで、その年の合計所得金額が2千万円以下であること②住宅の新築の場合、床面積が50㎡以上240㎡以下で、床面積の50%以上が居住用であること③贈与年の翌年3月15日までに入居、または入居できない場合は同日後、遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること④贈与年の翌年2月1日から3月15日までに住宅取得等資金の特例を受ける旨を記載した贈与税の申告書を税務署に提出することなどです。

 私の父親から500万円、妻の父親から500万円の贈与を受けたいと思います。

 ご主人が父親から贈与を受ける500万円については非課税枠内なので問題はありません。ただし、奥様の父親からの贈与については注意が必要です。もし、奥様の父親からの贈与を夫であるご主人が受けると、奥様の父親は「直系尊属」、つまり実の親ではないので、特例の要件を満たしません。そのため義理の父親からの贈与額500万円については通常の贈与となり、贈与税がかかることになります。そこで、奥様の父親からの贈与については贈与を受ける人をご主人ではなく奥様にし、その贈与額に相当する住宅の持分を奥様にすることで、特例の適用を受けることができます。

 贈与税の詳しい内容につきましてはお気軽に税理士までご相談ください。

(東京地方税理士会山梨県会・飯島正樹)

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