東京地方税理士会

セミナー 暮らしと税

税理士会が行う租税教育について(令和2年9月)

 税理士会による租税教室では税金の役割や機能をどのように説明されていますか?

 税理士会では小学校から社会人まで幅広く租税教室を開催していますが、中学校以上の租税教室では「税金にはどのような機能があるでしょう?」などと生徒さんたちに問いかけています。
 用意している答えは①公共サービスの財源調達機能②景気の調整機能③所得の再分配機能の三つです。
 ①の公共サービスとしては医療、福祉、警察、消防、道路整備、治山治水などを紹介しています。これらの財源を確保することが税金の最も重要な、かつ直接的な機能になります。
 ②は例えば消費税率を引上げると国民の財布のひもが固くなる、といった事象が発生します。逆に税率を引き下げると国民の消費意識が向上したりします。税金にはこのように景気を調整する機能があります。
 ③は所得税、相続税などでは超過累進税率を採用し、所得が多い方には多額の税金を納めてもらう仕組みになっています。そうして集めた税金は社会保障給付等を通じて社会で再分配されます。
 山梨県会甲府支部の租税教育推進部では今年、この点を強調するために中学、高校向けの租税教室のスライドを改訂し、最後に次の文章を加えることにしました。「あなたが納めた税金は必ずどこかの誰かを幸せにしています。そして、あなたもきっと、誰かが納めた税金のおかげで幸せな今日を迎えているのです」
 学校や職場におけるいじめや嫌がらせ、各種ハラスメント、さらにはネット上での匿名による中傷など、人々から思いやりの気持ちが欠如していると感じられるニュースが多い昨今。税金を納めるときに、「この税金が世界の誰かを幸せにしている」という「思いやり」の気持ちを持ってもらえたらうれしいです。

(東京地方税理士会山梨県会 田中健介)

[←前の記事] [暮らしと税TOP] [次の記事→]