東京地方税理士会

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相続時精算課税制度<令和2年6月>

 母から贈与を受けることになりました。通常の贈与税の計算方法に代えて「相続時精算課税制度」を利用したいと考えています。

 相続時資産課税制度とは、子または孫に対する贈与税の特例です。2,500万円までの特別控除と一律20%の税率で計算されます。通常の贈与との大きな違いは、相続時に贈与時の課税価格で持ち戻したうえで相続税を計算することになります。

 具体的にどのように計算するのでしょうか。

 贈与を受けた人は暦年課税で贈与税の申告を行うか、相続時精算課税制度の適用を受けるかを選択します。お母様からの贈与について相続時精算課税を選択した場合は、他の方からの贈与があれば暦年課税で贈与税を計算し、お母様からの贈与については相続時精算課税で贈与税を計算します。
 贈与税の計算は、特別控除額は2,500万円で、超えた場合にはその超えた金額に対して20%の税率となります。贈与者である父母または祖父母の相続時に、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産の贈与時の課税価格を合計し、相続財産に加算して相続税額を計算します。

 適用対象者などの注意点はありますか?

 この制度は一定の場合を除き満60歳以上である父母または祖父母から、満20歳以上の推定相続人または孫に対する贈与に限られます。人数の制限はなく、受贈者がそれぞれ別に選択することもできますし、父母または祖父母についても贈与者ごとに選択できます。
 相続時精算課税の適用を受ける人は、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税制度を選択する旨の届出書を、贈与税の申告書とともに所轄税務署に提出する必要があります。一度この制度を選択すると撤回は認められず、贈与は相続発生時まで継続して適用され、暦年課税に係る贈与に戻ることはできません。
 詳しい内容は、お近くの税理士にお気軽にお尋ねください。

(東京地方税理士会山梨県会・飯島正樹)

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