東京地方税理士会

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居住用不動産の贈与<令和元年9月>

-2019年7月から、婚姻期間20年以上の夫婦間で行った居住用不動産の贈与等については、『遺産分割において、原則としてその居住用不動産の持戻し計算は不要とする』という民法改正が行われました。

税法上の取り扱いを教えてください。

税法上でも居住用不動産の特例があります。婚姻期間20年以上の夫婦間で一定の要件を満たせば、基礎控除(110万円)とは別に2千万円まで贈与税が掛からないという特例(贈与税の配偶者控除)です。

一定の要件とは?

①贈与した財産が、配偶者が住むための住宅や土地(国内居住用不動産)であること、またはそれらを取得するための金銭であること②贈与税の申告期限までに、その住宅に配偶者が実際に住み、その後も引き続き住む見込みであること。この2点が要件となります。

特例を検討するにあたり、注意点はありますか?

この特例は同じ配偶者間において1度だけに限られます。また、所有権移転登記の税金のみを考えれば相続の方が有利ですが、遺産総額等を考慮して事前に相対的な試算をおすすめします。

贈与の年に贈与者が死亡した場合、特例の適用はできますか?

相続開始の年に配偶者が取得した居住用不動産については、過去に配偶者控除を受けていないときは、その控除される部分は相続税の課税価格に加算されず、相続税の対象になりません。贈与税の申告が必要です。その場合、配偶者控除の適用要件を満たしていれば、適用を受けることができます。

(東京地方税理士会・堀内寛人)

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