東京地方税理士会

セミナー 暮らしと税

相続した空き家を譲渡した場合の所得特例<平成31年2月>

 昨年8月に一人暮らしであった父が他界し、以後空き家となっていた家屋を取り壊し、今年2月にその敷地を譲渡しました。この場合は税金の特例があると聞きましたが、どのようになりますか?

 相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、かつ、特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに、相続した一定の空き家やその敷地を譲渡(売却)した場合は、当該家屋または土地の譲渡所得から3千万円の特別控除が認められます。

 この家屋は昭和54年に建築したもので、耐震基準を満たしていない古い建物なので取り壊し、土地のみを3500万円で売却しました。この土地は亡父が祖父から相続したもので具体的な取得金額は不明です。家屋の取り壊しに200万円、売却の仲介手数料等の譲渡費用が合わせて200万円かかりました。具体的に譲渡所得の金額はいくらになりますか?

 特例の対象となる家屋(空き家)は、次の要件を満たすことが必要です。
① 相続開始直前において被相続人(父)の居住の用に供されていたこと
② 相続開始直前において被相続人以外にその家に居住していた者がいなかったこと
③ その家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
④ 取り壊した家屋について相続の時から取り壊しの時まで、事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
など、お尋ねのケースは譲渡金額が1億円以下であるため、この特例の適用が可能です。
具体的には、譲渡収入の金額3500万円から、取得費の金額175万円(3500万円×5%)と譲渡費用の金額の取り壊し費用200万円と譲渡費用200万円の計400万円を差し引いた金額が、3千万円以下となるため、譲渡所得金額はないことになります。

 申告は必要なのですか?

 この特例の適用を受けるためには、譲渡所得の金額に関する明細書、登記事項証明書等、家屋のあった市町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」、その他一定の書類を用意して申告することが必要となります。
 詳しい手続きなどは、お近くの税理士にお問い合わせください。

(東京地方税理士会山梨県会・飯島正樹)

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